シミ・くすみの教科書
コンシーラーで隠しても、夕方には浮いてくることがある。明るい鏡の前で、ふと目がいってしまう——同じ「シミ」に見えても、成り立ちはひとつではありません。加齢によるもの、体質によるもの、ホルモンが関わるもの、炎症の名残。タイプが違えば、適した向き合い方も変わります。このページでは、シミ・くすみの種類と治療の考え方を、一般的な医学情報をもとに、できるだけ平易にまとめました。
シミ・くすみの正体
じつはシミは、ひとつの病気の名前ではなく、成り立ちの異なるいくつかの状態の総称です。
共通の主役は、メラニンという色素です。メラニンはもともと、紫外線から肌を守るためにつくられる、体に必要なものです。一般に、紫外線・ホルモン・炎症・摩擦などの刺激でメラニンが過剰につくられたり、加齢によって肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が遅くなって排出が追いつかなくなったりすると、色素が肌にとどまり、シミとして見えるようになると考えられています。
さらに、色素が肌の浅い層(表皮)にあるのか、深い層(真皮)にあるのかによっても、見え方や適した対処は変わるとされます。ひとつの顔に複数のタイプが混在していることも、めずらしくありません。
だからこそ、「シミ取り」というひとつの方法で、すべてが同じように解決するわけではない。これまでのお手入れで変わらなかったとしても、手段とタイプが合っていなかったのかもしれません。大切なのは、施術を選ぶ前の「自分のシミはどのタイプか」の見極めです。ここが出発点になります。
タイプを知る
代表的なタイプを、見分けの手がかりとあわせてご紹介します。いつ頃からあるのか、輪郭ははっきりしているか、左右対称に出ていないか——ご自身のシミがどれに近いか、当たりを付けながら読んでみてください。
| タイプ | 特徴と見分けの手がかり |
|---|---|
| 日光性黒子(老人性色素斑) | 年齢とともにできる、輪郭のはっきりした平らな茶色いシミ。40歳以降、頬骨やこめかみ、手の甲など日光の当たりやすい場所に、左右バラバラの位置で単発に出ることが多いとされます。いわゆる「加齢のシミ」で、最も多いタイプです。 |
| 雀卵斑(そばかす) | 子どもの頃から鼻や頬に散らばる、小さな点々。直径2〜3mmほどの淡い褐色の点が左右対称に散らばり、遺伝的な体質が関係するとされます。色白の方に多い傾向があります。 |
| 肝斑(かんぱん) | 30〜40代の女性に多い、頬に左右対称に広がる輪郭のぼんやりした薄茶色。こすったり紫外線を浴びたりすると濃くなりやすく、女性ホルモンの関与が示唆されています。目のまわりだけ色が抜けて見えるのが特徴とされます。 |
| 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) | 若い頃から頬骨のあたりなどに左右対称に出る、灰色〜青みがかった茶色の点の集まり。色素が肌の深い層(真皮)にある点が、ほかのシミと大きく異なります。肝斑と見分けにくかったり、合併したりすることもあるとされます。 |
| 炎症後色素沈着 | ニキビ・傷・かぶれなど、炎症のあとに残る茶色い跡。多くは数カ月かけて自然に薄れるとされますが、炎症が強いと1年以上かかることもあります。 |
| 脂漏性角化症(老人性いぼ) | 触ると少し盛り上がった、いぼ状のシミ。平らなシミと違って厚みがあるのが見分けの手がかりで、良性のできものです。平らな色素斑とは成り立ちが異なります。 |
| くすみ | はっきりしたシミではないのに、顔全体がなんとなく暗く見える状態。角層の乱れや乾燥などが混ざって生じることが多く、シミとは分けて考える必要があるとされます。 |
ただし、これはあくまで大まかな目安です。肝斑とADM、良性のいぼと注意が必要な病変などは、専門家でも判断に迷うことがあるとされます。まれに、シミに見えて実は治療を急ぐべき病変が混じることもあります。タイプの見立てが変われば、適した治療も変わります。自己判断で決めつけず、正確な見分けは医師の診察でご確認ください。
治療の考え方
シミ・くすみの治療には、大きく2つの方向があるとされます。
- 色素そのものを狙う方向:レーザーや光でメラニンを細かく壊し、体の外へ排出されるのを待つ考え方です。
- 肌の生まれ変わりを促す方向:ピーリングや外用・内服などで、メラニンを含んだ細胞の排出を後押しする考え方です。
多くの場合、この2つを組み合わせます。そのうえで、どの手段を選ぶかは「色素がどの深さにあるか」で変わるとされます。浅い層(表皮)の色素と深い層(真皮)の色素では、届かせるべき手段や設定が異なるためです。深い色素ほど排出に時間がかかるため、必要な回数が増え、治療の間隔も長めになる傾向があります。
手段ごとの向き不向きも、おおまかに知られています。
- ごく短い時間で照射し色素を選んで壊すタイプのレーザーは、一般に浅い色素にも深い色素にも用いられるとされます。
- 光治療(IPL)は幅広い波長で、全顔のシミ・くすみ・赤みなどをまとめて、回数をかけて負担少なく整える方向に向くとされます。一方で、深い層の色素には届きにくいとされます。
- 肝斑は例外で、「壊す」より「刺激しない」が原則とされます。内服・外用と、徹底した紫外線対策・こすらないスキンケアが第一で、照射を行う場合も補助的に、慎重な設定で行うとされています。
- 盛り上がったいぼ状のシミは、平らなシミ向けの照射だけでは深部が残ることがあり、削る処置など別のアプローチが向く場合があります。
- 炎症のあとの色素沈着は、まず紫外線と刺激を避けて自然な回復を待つのが基本とされます。あえて強く当てない、という判断が適切なこともあります。
つまり、タイプと深さの見極めが、そのまま治療の設計図になります。当院でも、まず肌の状態を拝見してタイプの見当をつけ、そのうえで手段の組み合わせをご提案しています。
セルフケアと注意点
どのタイプにも共通する土台は、紫外線対策と「こすらない」ことです。治療を受ける・受けないにかかわらず、次の点に気をつけていただくと、悪化の予防につながるとされます。
- 毎日の紫外線対策:どのタイプのシミも、紫外線で濃くなりやすいとされます。日焼け止めは季節を問わず続けるのが基本です。
- こすらない:強い洗顔やマッサージ、頻繁な摩擦は、色素沈着や肝斑の悪化につながることがあるとされます。
- 肝斑への自己流ケアに注意:市販の美白ケアやセルフピーリング、刺激の強いお手入れで、かえって濃くなることがあります。
- 「自然派だから安全」とは限らない:同じ成分でも、肌から入るほうがかぶれを起こしやすいことがあるとされます。
- 治療後のかさぶたは触らない:照射後に患部が黒っぽくなったり、薄いかさぶたができたりするのは、多くの場合、経過の一部です。無理にはがすと跡が残りやすいとされます。
- 回数を詰めすぎない:間隔を空けずに照射をくり返すと、色が抜ける(白斑)などの副反応のリスクが高まるとされます。急がば回れ、が原則です。
また、シミが急に大きくなる、色ムラや形がいびつになる、出血する、といった変化があるときは、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。妊娠・授乳の有無、内服中のお薬、アレルギー歴、過去の美容治療歴は治療の選択に関わりますので、診察時に必ずお知らせください。
当院の対応施術
セルフケアが受け持てるのは、多くの場合「これ以上濃くしない」ことまで。一般に、すでにある色素を積極的に薄くするアプローチは、医療の領域とされています。当院では、シミ・くすみのご相談に、主に次の施術で対応しています。どれが合うかは施術の名前ではなくタイプと深さで決まるため、診察で肌の状態を拝見したうえでご案内します。
- ピコスポット:ごく短い時間の照射で、色素をピンポイントに狙うレーザーです。輪郭のはっきりしたシミやそばかすに検討されます。
- ピコトーニング:弱い出力で顔全体にやさしく照射し、回数を重ねる方法です。くすみや、刺激を避けたい肝斑の補助として検討されます。
- ルメッカ(IPL):幅広い波長の光で、シミ・くすみ・赤みなど全顔の色ムラをまとめて整える方向の光治療です。
- ルビーレーザー系:メラニンに反応しやすい波長のレーザーです。表皮の色素斑に対して、状態に応じて照射方法を使い分けます。
- 美容内服:肝斑や色素沈着のケア、照射治療の土台づくりに用いられる内服です。
照射施術の回数・間隔・ダウンタイムの目安は、本体ページの「シミ・そばかす・くすみ」パネルでご覧いただけます。パネルでは、ピコスポット・ピコトーニングは「ピコレーザー(enLIGHTen SR)」、ルビーレーザー系は「ルビーフラクショナル」の項として掲載しています。
気になる施術が決まっている方は、WEB予約からお進みください。「どれが合うのか分からない」という段階でも構いません。迷うときは、ご予約の前に公式LINEでお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
シミは1回のレーザーで消えますか?
自分のシミがどのタイプか、自分で見分けられますか?
肝斑にレーザーを当ててもいいのですか?
治療のあと、いったん濃くなったのですが失敗でしょうか?
「くすみ」と「シミ」は違うものですか?
そばかすや肝斑は、治ったら再発しませんか?
掲載内容は一般的な医学情報をまとめたものであり、診断に代わるものではありません。実際の診断と治療方針は、診察のうえでご案内します。記載の施術はすべて自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があり、特定の結果をお約束するものではありません。主なリスク・副作用は診察時にご説明します。一部、国内未承認の医療機器・医薬品を含みますが、医師の判断のもと使用しています。